過去記事の再現「京都タワー〜僕とホームレス、ときどき自由人〜」

目の前のマンションに、学生カップルが何組も入っていくのを眺めながら五寸釘をアナログテレビに打ち付ける日々を過ごしておるくまそです、コンニチワ!

もう何なんでしょうねこの格差。何をどう間違ったらこんな格差が生まれるんでしょうね?目の前のそこそこ家賃の高そうなマンションでは盛りのついたクソ学生がキャッキャうふふしてるのに、私ときたら、エコーを吸う⇒ウドンを茹でる、の二つの動作をパブロフの犬の如く繰り返し、タマに思い出したように「素人クンニ面接」とかいう、げにまっこと猥褻なビデオを鑑賞してる訳ですよ。

っでもってせめてネット上だけでも相手にされたい!っと思いながらこのウンコブログを書いてる訳なんですけども、ブログでも格差は広がるばかり。

私が使わせて頂いているこの「はてなブログ」とは別のアメーバブログってのにはランキングがあって、大学生ランキングってのもあるわけなんですね。

っでそこの上位の方々なんかは一日恐らく2万くらいアクセスがある訳なんですよ。

でも内容を見たらこれが結構酷くて、「今日はオムライスを食べました(*^-^)」などの、一体誰がその情報を欲しがるのか、それを聞いて何になるのか、それを見るくらいだったら「素人クンニ面接」を見た方がまだ有意義な時間を過ごせるのではないか、「素人クンニ面接」の2番目に出てきたフリーターの女の子が働いている居酒屋はどこなんだ!是非行きたい!っと思わざるおえない内容なんですよ。そして改めて「素人クンニ面接」の良さを再確認するする訳なんですよ。

しかしアクセスは2万あるわけじゃないですか。その点私なんか1日20とかそこらのアクセスしかない訳じゃないですか。「素人クンニ面接」に至っては全国で見た事のある人って多分1000人くらいじゃないですか。

もうホントに酷いですよこの格差。訳が分からないですよ。

しかしね、私なんかまだいい方です。「格差だ!」っと叫んでいる割には家庭は普通だし大学生って身分もあるし、就職先だってあります。

下を見ればキリがないかもしれないですけど、この豊かな日本においてさえ、世の中には住所もなく、職もない人が大勢いらっしゃいます。

本日はそんな職もない、住所もない方二人との、一夜限りの触れあいを綴っていこうかと思います。一体その記事を見て何の情報が得れるのか、何の意味があるのか、こんな下品な事を書いているからアクセスが無いのだ、「素人クンニ面接」の5番目の女の子は色々キツいぞ!ってな文章ですが、よろしければお付き合い下さい。


京都タワー〜僕とホームレス、ときどき自由人〜


大学2年生の夏休み、私は京都にいたんですよ。サークル関係の凄まじくアウトドアな合宿が京都であり、私はTシャツと短パン、タオルを頭にくくりつけ更にドでかいリュックを引きづりながら、サークル会員との合宿打ち上げを楽しんでおりました。

合宿の打ち上げは焼肉だったんですけど、やっぱり若い男が肉を食うと、もう色んな所が元気になっちゃって「もうメンドクサイからケツにビール瓶挿してみるか!」とかの、何がメンドクサイのか全く分からない世迷いごとを言うようになっちゃったんですよ。

まあ普通のサークルでしたらここでカラオケとかに行ってその元気を如何なくブッ放すんでしょうが、私が所属していたサークルはそんな爽やかな元気玉放出メソッドを頭に持っておらず、明るく健やかに「風俗行こうぜ!」ってな感じになりました。

しかし京都なんか全く分かりませんし、アホヅラ下げた我々なんか夜の街にとっては都合のいいカモでしかありません。満足いく成果を得られるはずもなく、8000円も払って女の子というか七面鳥というか、やっぱり女の子というか…という謎の女性と戦い「お兄さん大学生なんてウソでしょ!その喋り方、絶対どっかのキャッチでしょ!」と極めて高いテンションで言われ、褒めてんのかケナしてんのか舐めてんのか、いやはや別の部分は舐めてもらったけどなあなどの意味の分からない感想を抱きながら風俗街を後にしました。

私はその後実家である大分県に帰る予定があったので、他の東京に帰るメンバーとはそこでお別れです。金がもったいなかったのと、京都駅から大分までの電車まで時間が合ったので私は歩いて京都駅を目指しました。

知っての通り京都は条坊制の名残があり、道が恐ろしく単純です。ですからほとんど一直線で京都駅までだったら歩く事が出来ます。

そんなこんなでトコトコ歩いて行って京都駅に着いたんですけど、運の悪い事に台風の影響で大分までの夜行列車が運行休止になってしまっていたんですよ。

これには困りました。

七面鳥ガールに金をブッこんだのでどこかに泊る事も出来ませんし、どういうわけか漫画喫茶が京都駅付近にはない。まああったとしても3時間くらいしか漫画喫茶に泊れる金はなかったんですけど、一時でも屋根のないのとあるのでは大違いです。恐らく探せばあったのでしょうが、非常に疲れていたので、私は京都駅の前で野宿する事にしました。

周りを見れば私のように電車が止まって途方に暮れている人が何人かいて、だだっ広い京都駅の周りには野宿マンが結構な数いました。

その中に混じり、ベンチに腰掛けて煙草をふかしながら朝が来るのをひたすらに待っていたんですよ。するとですね、私から3メートル離れた場所にいる男がやたらとこちらを見てくる。おっ?なんだなんだと思いながら、目を合わせるのが嫌なので目を閉じてじっとしていました。

すると男が立ち上がり、こちらに向かってくるではないではないですか。

これは怖い。

その男は結構ファンキーな格好してまして、私と同じとはいかないものの背が高い。そしてズカズカと私との距離を縮じめてきます。私の心臓はバクバクですよ。そりゃあ私の方が体格は大きいですし、イチャモンつけられ喧嘩を売られたら多分勝てるとは思いますが、刃物なんか出され警察沙汰になったら大変です。だって警察から調書を取られ、私が悪いわけでも何でもないのに「いや、その七面鳥みたいな女性と行為に及んだ後に京都駅行って…」とか言わなきゃならない訳でしょ?親が引き取りに来たらどんな顔をすればいいんだ、よく知らないけど親が調書を読んだらどうするんだ!

ただでさえ当時親元には「息子さん全然授業に出てませんね〜休学なさっては?」とか言われてましたから、これ以上無駄な涙は見たくない、無駄な罵声は浴びたくない。

そんな私の思いを知ってか知らずか男はどんどんこちらに向かって歩を進めてきます。

そしてとうとう私の隣に男は座り、極めて低い声で


「自殺しない?」


っと言ってきたんですよ、ホントもう、とかなら話は面白くなっていくんですが、そんな事は全くなく、その人の発した言葉は「煙草くれない?」っでした。

その後その人と煙草を吸いながら話していたんですが、何でもお兄さんは東京でフリーターをやって200万貯めたので今はヒッチハイクで全国を旅して周っているとか何とか言ってました。話して見た感じは陽気なヒッピーって感じでしたけど、「一昨日戸籍抜いてきたんだよね〜」という言葉には少し狂気を感じましたねえ。

そのお兄さんの旅の話を聞きながら「早くどっか行ってくれねえかなあ」と眠たい頭で考えていたところ、どこから現れたのか、マゴう事なきホームレスのオッサンが今度はこちらをチラチラ見てくるではないですか。

そんでもって今度はホームレスのオッサンがこっちにどんどん近付いてくる。っでちょっと忘れちゃいましたけど、ホームレスのオッサンも交えて濃厚なお馬鹿サミットが開催されることとなったのです。確かホームレスのオッサンは、ここいらにいると夜に警察が来るから向こうで寝た方が安全だよ、みたいな事を言って私達に近づいてきた気がします。

しかし善人ぶってるこのホームレスのオッサン、「滑って転んで大分県!」などのホームレスジョークを言ったかと思いきや、何の脈絡もなく私の方をじっと見つめ「お前のケツを掘りたい」とか言ってきやがるんですよ。

会話にするとこんな感じですよ。


ホームレス「俺は昔ヤクザだったんだよ」

くまそ&お兄さん「へえ、凄いですね」

ホームレス「京都には岡山から自転車で来たんだ」

くまそ&お兄さん「へえ、凄いですね」

ホームレス「酒が飲みてえな」

くまそ&お兄さん「へえ、凄いですね」

ホームレス「くまそ君のケツを掘りたい」

お兄さん「凄そうですよね」



みたいな感じですよ。しかもヨダレだらだら垂らしながら。

っでもってホームレスのオッサンが酒を飲みたい、一緒にお前らも付き合えというので、一番若輩者の私がコンビニまで3人分の酒とパンを買いに行く事になりました。何とホームレスのオッサンの金で。

オッサンの財布(ビニール袋)を持って私は近くのコンビニまで走ったんですけど、この時一瞬だけ「逃げようかな」と思いましたよ。けれど恐らくその日の暮らしにも困っているオッサンの金を奪って逃げるのは申し訳ないでじゃないですか。後味が悪すぎる。私は素直にオツカイを済ませる事にしました。


ホームレスのオッサンの金で買ったビールを飲みながら京都駅前で3人の良く分からない男達の酒宴が始まりました。オッサンは尚も「くまそ君のケツを掘りたい」と言いながらうまそうにビールを飲み、お兄さんも久しぶりのアルコールだそうで嬉しそうです。私は貞操の安全を再確認しつつ、ビールを口に運びました。

ビールが底をつき始めると、お兄さんはおもむろに立ち上がり「今日は西本願寺で寝ます」とよく分からない事を言って、一目散に去って行きました。この流れでオッサンも帰ってくれねえかなあと思ったのですが、オッサンは時折私の太モモを触り、ヨダレを垂らしながら32回目くらいの「滑って転んで大分県!」というホームレスジョークで私を口説いてきます。この時ほど私は、私が口説こうとしてきた女性への精神的負担を自覚した事はありませんでした。私も普通からすればかなり汚らしい身なりをしているので、さぞ辛かった事でしょう。

38回目くらいのホームレスジョークがぶっ放された頃、オッサンは私に向かってやたらと「早く寝ろ」という事を言うようになりました。これも恐ろしいモノです。寝たら何をされるか分かったものではありません。

今日は寝ずに朝を迎えようと決心を固めたんですけど、体の疲れとビールの酔いも手伝って、私はかなり眠たかったんですよ。けれど寝れば掘られる。何の罰ゲームですかこれは、一体私が何をしたというんですか!


そんな折、オッサンは「ちょっとそこら辺歩いてくる。また戻ってくる」と言って、やっとの事でどっかに行ってくれたんですよ。いやあ、これは助かった、私は勝ったのだ!

しかしさて逃げようとした時、私はふと考えました。掘るぞ!と言っていても相手はオッサンです。いざとなれば簡単に逃げる事が出来ます。これが私より大きい、筋骨隆々としたオッサンなら話は別ですが、今いるのは今にも倒れそうなホームレスのオッサンなのです。走力、機動力で負けるはずがありません。

私は大丈夫、大丈夫と安堵し、瞳を閉じて朝が来るのを待つことにしました。しかしこれが大きな間違いだったのです。

ホームレスのオッサンは帰ってくる事には帰ってきたんですよ、ええ。結構すぐに帰ってきました。

それもそのはずです。


オッサン、「自転車」に乗って帰ってきたんですわ…


その後はまた寝たら掘られる、阿鼻叫喚の睡魔とアナルのシーソーゲーム。いやはや、ホントに辛かった…


結局ゲームに勝利し、私の貞操は保たれたんですが、帰り際、オッサンは私に自らの全財産だと思われる小銭と1〜2枚の千円札が入ったビニール袋をくれたんですよ。理由は分からないですけど。


今でもその金は使わずに取っています。そしてその金が入ったビニール袋を見る度に思うのです。この金を使った時、私は目の前のマンションのカップルと、土俵すら違う、訳のわからないステージに向かってしまうのだろうなあ、っと。