ファイト!

今でこそ歯についた煙草のヤニをマイナスドライバーで削りとるというさながら工事現場かと疑うほどオットコマエな「歯磨き」をしている私ですけど、そりゃもう子供の頃は口を酸っぱくして母から「歯を磨け!」っと言われたものです。

これはどうしてかというと私の母親は歯に関わる仕事をしている人だったので、人一倍歯に対して敏感だったんですよ。酷い時にはモノを食ってる時にも「歯を磨け!」っと言われてましたからねえ。そんな器用な事が出来るはずないだろ。

しっかしそうは言われて歯磨きをするものの、どうも私は虫歯になりやすい体質なのかバリバリに虫歯になってたんですわ。

っで虫歯になったら当然の如く歯医者さんに行かなきゃいけないでしょ?これがもうホントに嫌で嫌で仕方がなかった。

大体歯医者ってふざけてると思うんですよね。

だって良く分からないまま台に座らされて口を開かされ、「何するんだてめえ!」っと叫ぶスキも与えずに唸り声をあげる意味不明な器具を口に突っ込まれるわけですからね。

そしてあらかた向こうの攻撃が終わり、絶望に打ちひしがれながらうな垂れていると「口をゆすげ」などというじゃないですか。っで渋々口をゆすぐと血が混じってたりなんかして「お前!なんてことしてくれてるんだ!」っと叫ぼうとした瞬間、また口をあんぐりさせられてドリルでキュイーンですよ。

あんなの合法的に行われていい商売ではない。

耳鼻科なんかも同じような事が言えて、台に座らせられると「よう!元気?」みたいな軽いのりで細長い金属を鼻に押し込んでくるじゃないですか。あれも結構フザケタ行動です。しかも結構痛いですしね。私なんかあれで「おかしいなあ、入らないなあ」などとインポ野郎の情事みたいな事をいわれ、痛いのを我慢してたら鼻血が大量に出てきた事がありました。全く、人の鼻を何だと思ってやがるんだ。

こんな風にですね、何をされているか分からないっていう状況は凄く怖い。

っで先日同じような経験をしたんですね。

その日私はバイト先からバスで駅まで帰っていたんですが、夜も遅いとあってかバスに乗っているのは私一人。っで運転手の近くに座り、さて中島みゆきの「ファイト!」でも聞きながら涙を流すかっと恐ろしく猥雑なことを考えてipodの電源をつけたんですよ。

しかしバスが発進したのはいいもののバスのスピードがいつもより速い。右折の時もほぼ減速なしで曲がるモンですから遠心力で吹っ飛ばされます。いっそ川の流れに身を任せながら流れ落ちてしまうのは楽ですが、バスの流れに身を任すのは御免こうむりたい。

しかも運転手は「おかしいな、変だな」っとトンでもない独り言を言いながらクラッチを何度も何度も踏んでるんですよ。

あれは怖かった。死ぬかと思った。

恐らくギアがうまく変速出来なったんでしょうけど、そのときは何が何だか分からず私も動揺しまくってましたねえ。そしてそんなときに耳から聞こえるのは「ファイト♪」

ファイトでどうにかなるはずないだろ!

結局のところは運転手さんの華麗なるドライビングテクニックによって、日本経済に今後多大なる貢献をする一人の有望な青年の命は取り止められたのですが、やっぱり何をされているのか分からないってのは怖いものです。

何だかリビドーむき出しの男に迫られる処女の気持ちが少しだけ分かったような気がしますねえ。


まあこの時期に就活をせずこんなくだらない文章を書いているという「何をしてるのか分かってるのか?」っという状況も結構怖いんですけどね。

ファイト!